フレデリカ「最後のデートごっこ」

141pt   2019-05-25 09:16
SSなび

2: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:29:23.78 ID:/4HhEtAk0
「ふんふんふふーん、ふんふふーん」


とある土曜、とある駅前にて。
一人の男が気持ち悪くも鼻歌を歌いながらチラチラと時計を確認していた。
まぁ、自分の事なのだけれど。


たまの休日を時計観察なんかに費やすなんて間抜けな事だ。
そう、はたから見れば思われるかもしれないけれど、今の自分にはそんな事よりも重要な事があった。
そもそも時計観察なんて趣味の人がいるなら折角の休日は世界の時計美術館にでも行っているだろう。
時計が嫌いなわけではないけど、それ自体を目的に時間を潰すなんて俺がする日はきっと来ない。


詰まる所、俺は人と待ち合わせをしていたのだ。


さて、先ほどからずっと語られている時計の表示は大体十時。
アナログな針は左上と真上を指している。
その針二本の中心には十一の文字。
長い針によって隠されていた姿を完全に現した時、俺達が集合する時間となっていた。


では何故それ以前から自分がここで時計とにらめっこしていたかと言えば、王道テンプレなとある会話をしてみたかったから。
待ち合わせの相手がそんなテンプレを実行してくれるとも思えないが、一縷の望みに賭けて頭の中でトーク欄に文字を並べて立っていた。
残念ながらその相手の姿は未だに見当たらないけれど。


もしかしたら、俺がウォッチウォッチングしているのを邪魔しては悪いと気を配ってどこかで待ってくれているのかもしれない。
なら話し掛けてくれればよかったのに。
それとも昔の小説の様に、柱を挟んで反対側で待っている可能性もある。
そんなドラマチックな展開を期待して背にしていた柱をグルリと五周ほどするも、姿も影も形も種も仕掛けも見当たらなかった。


待ち人は来ず、俺は一人ただの不審者。
流石に柱愛好家の人には見えないだろう。
取り敢えず、咳をしておこうか。
自由律俳句的なノリで周りを誤魔化す。



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